歯科における医療安全情報part1~歯科用局所麻酔薬

この7月から2か月分の医薬品医療機器の安全情報をまとめて、医療機関等にフィードバックする取り組みを開始することとしました。なかなか我が国だけの情報では不足することはあるかも知れませんが、まずは手始めに国内情報から還元していきたいと考えています。

また、当ブログでも医薬品医療機器情報提供ホームページに収載されている、歯科に関する医療安全情報を紹介していきたいと思います。まず1回目は歯科用局所麻酔薬です。

1.販売名
キシレステシンA注射液(カートリッジ)

2.薬効分類名
歯科用局所麻酔剤

3.貯法・使用期限等
貯法 遮光し凍結を避けて15℃以下に保存すること

4.組成
本剤(1カートリッジ1.8mL)は注射液1mL中に塩酸リドカイン20mg、エピネフリン0.0125mgを含有する。
添加物として乾燥亜硫酸ナトリウム0.6mg、*塩酸、*等張化剤、*pH調整剤を含有する。

5.性状
・無色澄明の液で、においはなく、味はわずかに苦く、塩味があり舌を麻痺する。空気又は光によって徐々に変化する。
・本剤のpHは 3.3~5.0、浸透圧比 約1(0.9%生理食塩液に対する比)である

6.一般的名称
配合主成分 塩酸リドカイン エピネフリン

7.禁忌
(次の患者には投与しないこと)
・本剤又はアニリド系局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
・血管収縮剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
(原則禁忌:次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
・高血圧、動脈硬化、心不全、甲状腺機能亢進、糖尿病のある患者及び血管攣縮の既往歴のある患者これらの病状が悪化する恐れがある。

8.効能又は効果/用法及び用量
(効能又は効果)
歯科領域における浸潤麻酔又は伝達麻酔。
(用法及び用量)
浸潤麻酔又は伝達麻酔には通常、成人0.3~1.8mLを使用する。口腔外科領域の麻酔には、3~5mLを使用する。なお、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減するが、増量する場合には注意すること。

9.使用上の注意
(慎重投与:次の患者には慎重に投与すること)
・高齢者又は全身状態が不良な患者(生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。)(「高齢者への投与」の項参照)
・心刺激伝導障害のある患者(症状を悪化させることがある。)
・重症の肝機能障害又は腎機能障害のある患者(中毒症状が発現しやすくなる。)

10.重要な基本的注意
(1)まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備しておくこと。
(2)本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の諸点に留意すること。
・患者の全身状態の観察を十分に行うこと。
・できるだけ必要最少量にとどめること。
・血管の多い部位(顔面等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与すること。
・注射針が血管に入っていないことを確かめること。
・注射の速度はできるだけ遅くすること。
・前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、これらの薬剤を使用する際は少量より投与し、必要に応じて、追加投与することが望ましい。なお、高齢者、小児、全身状態が不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では、特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと。
・注射針が適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には、本剤の注入を行わないこと。
・本剤の投与により、誤讌・口腔内咬傷の危険性を増加させる恐れがあるので注意すること。

11.相互作用
(併用注意:併用に注意すること)
(1)薬剤名等:ハロゲン含有吸入麻酔薬 ハロタン等
(臨床症状・措置方法)
頻脈、不整脈、場合によっては、心停止を起こすことがある。
(機序・危険因子)
これらの薬剤は、心筋のアドレナリン受容体の感受性を亢進させる。
(2)薬剤名等:三環系抗うつ薬 イミプラミン等 MAO阻害薬
(臨床症状・措置方法)
血圧上昇を起こすことがある。
(機序・危険因子
これらの薬剤は、アドレナリン作動性神経終末でのカテコールアミンの再取り込みを阻害し、受容体でのカテコールアミン濃度を上昇させ、アドレナリン作動性神経刺激作用を増強させる。
(3)薬剤名等:非選択性β遮断薬 プロプラノロール等
(臨床症状・措置方法)
血管収縮、血圧上昇、徐脈を起こすことがある。
(機序・危険因子)
これらの薬剤のβ受容体遮断作用により、エピネフリンのα受容体刺激作用が優位になり、血管抵抗性を上昇させる。
(4)薬剤名等:抗精神病薬(ブチロフェノン系、フェノチアジン系等) ハロペリドール クロルプロマジン等 α遮断薬
(臨床症状・措置方法)
過度の血圧低下を起こすことがある。
(機序・危険因子)
これらの薬剤のα受容体遮断作用により、エピネフリンのβ受容体刺激作用が優位になり、血圧低下が現れる。
(5)薬剤名等:分娩促進薬 オキシトシン等 麦角アルカロイド類 エルゴメトリン等
(臨床症状・措置方法)
血圧上昇を起こすことがある。
(機序・危険因子)
併用により血管収縮作用が増強される。

12.副作用
(副作用等発現状況の概要)
使用成績調査等の頻度が明確となる調査を実施していないため、副作用発現頻度については不明である。
(重大な副作用)
(1)ショック
徐脈、不整脈、血圧降下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告があるので、観察を十分に行い、このような症状が現れた場合には、適切な処置を行うこと。
(2)意識障害、振戦、痙攣
意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状が現れることがあるので、観察を十分に行い、この様な症状が現れた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「過量投与」の項参照)
(3)異常感覚、知覚・運動障害
注射針の留置時に神経に触れることにより一過性の異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的な異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害等の神経学的疾患が現れることがある。
(4)悪性高熱
まれに原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋強直、血液の暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱が現れることがある。本剤を投与中、悪性高熱に伴うこれらの症状が認められた場合は、直ちに投与を中止し、ダントロレンナトリウムの静注、全身冷却、純酸素での過換気、酸塩基平衡の是正等、適切な処置を行うこと。また、本症は腎不全を続発することがあるので、尿量の維持を図ること。
(5)その他の副作用
頻度不明
○中枢神経
眠気、不安、興奮、霧視、眩暈、悪心、嘔吐等が現れた場合、ショックあるいは中毒へ移行することがあるので、患者の全身状態の観察を十分に行い、必要に応じて適切な処置を行うこと。
○過敏症
蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等の過敏症状が現れることがある。

13.高齢者への投与
高齢者では本剤に含まれているエピネフリンの作用に対する感受性が高いことがあるので患者の全身状態を観察しながら慎重に投与すること。

14.妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は、妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

15.小児等への投与
小児等に対する安全性は確立していない。

16.過量投与
局所麻酔薬の血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に誤って血管内に投与した場合には、数分以内に発現することがある。その症状は、主に中枢神経系及び心血管系の症状として現れる。
(1)徴候、症状
1)中枢神経系の症状
初期症状として不安、興奮、多弁、口周囲の知覚麻痺、舌のしびれ、ふらつき、聴覚過敏、耳鳴り、視覚障害、振戦等が現れる。症状が進行すると意識消失、全身痙攣が現れ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じる恐れがある。より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある。
2)心血管系の症状
血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系の抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等が現れる。
(2)処置
呼吸を維持し、酸素を十分投与することが重要である。必要に応じて人工呼吸を行う。振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。心機能抑制に対しては、カテコールアミン等の昇圧剤を投与する。心停止を来した場合には直ちに心マッサージを開始する。

17.適用上の注意
(1)使用回数
本剤は1回限り使用のディスポーザブル製剤であるので、再度の使用は避けること。(使用したカートリッジには患者の体液が逆流している可能性がある)1) 2)
(2)注射速度
強圧をかけずにできるだけゆっくり注射すること。(骨膜下への強圧注射は組織の損傷又はカートリッジの破折#につながる恐れがある。)
#注射器のプランジャーを20kgの力で押すと構造上約55kg/cm2の内圧がカートリッジに加わる。本剤は、使用に際して20kg以上の力が加わると、カートリッジが破損したり、あるいは液漏れが生じることがある。

18.使用目的
歯科用にのみ使用する。

19.その他の注意
(1)急性毒性
塩酸リドカイン:LD50(マウス経口)292mg/kg 3)
(2)薬効薬理
[局所麻酔作用]
表面・浸潤・伝達麻酔作用について動物実験(モルモット、マウス)で局所麻酔効果が確認されている。

20.取扱い上の注意
・凍結すると、ゴム栓の飛び出し又は、カートリッジの破損が起こることがあるので注意すること。
・使用前にカートリッジの頭部(アルミキャップ)メンブランをアルコールで軽く消毒すること。長時間カートリッジを消毒液に浸漬しないこと。
・本剤は金属を侵す性質があるので、長時間カートリッジ内に注射針を刺入した状態で放置しないことが望ましい。
・廃棄の場合は感染防止に十分配慮すること。
・暗色になったり、沈澱を生じたものは使用しないこと。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック